メタ認知能力を高めて経験を役立てる方法
この記事では起こった出来事をそのまま流すのではなく、自身や周囲の成長に役立てたい人や、現在のやり方で行き詰まっていると感じている人に役立ちます。
具体的にすることは内省(リフレクション)です。
内省というとネガティブな印象もありますが、ここではポジティブな方向に役立てる方法を紹介します。
『リフレクション(REFLECTION) 自分とチームの成長を加速させる内省の技術』を参考にして書いています。
メタ認知能力を高めてリフレクションする
リフレクションは質を高めるために『認知の4点セット』というフレームワークを活用してメタ認知力を高めます。
『認知の4点セット』は以下の4つで成り立っています。
- 意見
- 経験
- 感情
- 価値観
認知を4つに切り分けて考えることで、無数の経験がどのように解釈されて自分の意見が形成されたか分かるようになります。
つまり、表面的な意見の背景にある経験、それに紐づけられた感情を知ることができます。
さらに、どのような価値観によってその意見や感情が生み出されているのか気付きを得ることができます。
実際にどうこのフレームワークが活用されるのか見ていきましょう。
意見には、「考え」「学び」「思ったこと」を書きます。
例えば「大学で講義を受けるよりも本を読む方が早く学習できる」などです。
次に、経験の欄にはそう考えるようになった背景を書きます。
「大学のオンライン授業は内容が極端に薄かったり、逆に課題が多すぎたりで成長に繋がらない部分が多い」といった感じです。
次に感情です。
この経験に対してどう感じたか考えましょう。
イライラ、面倒などシンプルで良いです。感情に意見が混じらないようにしましょう。
最後に、感情の原因となった価値観はなにか考えましょう。
「判断に用いた基準や尺度」「ものの見方」などが価値観になります。自分の価値観を肯定するものならポジティブな感情が生まれ、否定するものならネガティブな感情が生まれます。
例えば「成長、効率化」などです。
こんな時に役立つ
認知の4点セットを活用できる場面はいくつかありますが、ここでは
- モチベーションの源を探る
- 現在のやり方で行き詰まったとき
の2つを紹介していきます。
モチベーションの源を探る
日常の場面でやりがいを感じたとき、ポジティブ・ネガティブな感情が湧いたときにリフレクションします。
「嬉しい」などのポジティブな感情のときは自分の価値観が肯定されていて、「悲しい」などのネガティブな感情のときは否定されています。言い換えると、感情は私達自身の期待値・予測値からの差分です。
例えば、電車が遅れてイライラするのは、電車は時間どおり来るはずという期待が裏切られたからです。詳しくは以下の本で紹介されています。
BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは
この事を意識して認知の4点セットをつかってみてください。
他にも心理的な抵抗は大きいですが、腹が立ったとき・ネガティブな感情が生まれたときの方が自分の価値観は発見しやすいです。
「なぜ私は不快に感じているのか?」とリフレクションしてみてください。
こうすることで、失敗やストレスを学びに変えることができます。
30代以下の乾けない世代のモチベーションについての記事はこちら。
現在のやり方で行き詰まったとき
今までのやり方でうまく行かないとき、経験をリフレクションすると良いです。
この方法の目的は、経験から何を学んだか明らかにして、その経験を未来にどう役立てるか計画することです。
経験のリフレクション
- どういう計画でその経験をしたのか、どんな結果を求めていたのか考える。
- 実際に得た結果と予想を比較する。
- その経験はどんなものだったか。良かった所、悪かったところはなにか?
- うまく行っていたら、その理由はなにか。失敗したら、どの行動を変えたらうまく行っていたか考える。
- このリフレクションで明らかになったことは何か?
- 次にどう役立てるか。
- まだ明らかになっていない部分はあるか?
この手順を行うことで、経験から普遍的な法則を見つけ出します。さらに、継続的にこのリフレクションを行うことでこの法則を改善していきます。
他の手段としてアンラーンというものがあります。
環境の大きな変化により今までの方法がうまく行かないときなどに役立ちます。
アンラーンとは過去の成功体験を手放すことです。
アンラーンのためのリフレクション
- 過去の成功体験のリフレクション
- 感情レベルでの理解を深める
- アンラーンしたらどうなるか
- アンラーンする
過去の成功体験は今まで役に立ったと認めた上で、価値観(ものの見方)だけを手放します。
例えば、定年まで1つの会社で働くという価値観を手放し、転職することが前提のような新たな価値観を受け入れるといったものです。
人を育てるには褒め過ぎるぐらい褒める
人を指導するときには、まだ出来ていないことを指摘することが多いと思います。
しかしそれでは、相手はいつもネガティブな事を言われると思ってしまいモチベーションが下がります。
そのためフィードバックするときは褒めることも必要です。
理想的なフィードバックの比率
マーシャル・ロサダ博士が生み出したことで知られる心理学の法則(通称ロサダの法則)では、ポジティブな評価3に対してネガティブな評価1が理想と言われています。
褒めるときは結果ではなく、プロセスや相手の人柄・他人との比較ではない絶対評価で褒めましょう。
詳しく知りたい方はこちらの本を参考にしてください。
「なるほど!」とわかる マンガはじめての他人の心理学 [マンガ心理学シリーズ]
褒めることは単に相手のモチベーションを高めるだけではありません。
その人にとって得意なことというのは当たり前にできることなので、かえって自分では気付きづらいのです。
そのため、周りの人が褒めることで得意なことに気付くきっかけを与えることができます。
ネガティブな事をフィードバックする
ネガティブな事をフィードバックするには注意することがあります。
特に重要なのは感情を持ち込まないこと、行動の結果がどうなったかも伝えることです。
相手が予め決めていた期限に遅れたときのことを考えます。
まず、自分の感情をリフレクションしましょう。
これは上に書かれているリフレクションの仕方と同じです。
ただし、自分の感情の源を確認することが1番の目的です。
次に実際にフィードバックします。
- 相手がした行動
- どんな結果になったか
- 理想的な行動
の3ステップです。
例えば期限が12/24だったとして、実際には12/26までかかったとします。
- 期限より2日遅れたことを伝える
- それによる結果、例えば周囲が残業しなければならなくなったという
- 期限を守る、先に無理なら無理と言っておくなどの理想的な行動を伝える
のようになります。
まとめ
リフレクションの質を高めるためには『認知の4点セット』を用いてメタ認知能力を鍛える必要があります。
そうすることで、この記事で書かれたことだけでなくそれ以外にも応用して自身や周囲の成長に役立てることができます。