マーケティングにおけるデータ分析の手法
- 意思決定のために使える情報が多くなりすぎて、何を使えば良いのか分からない人
- これからマーケティングリサーチやデータ分析を始めたい人
- マーケティングリサーチの手順を知りたい人
ビックデータではなく、シンプルなデータをうまく活用することでデータ分析の基本を理解していきます。
以下の本を参考にしています。
マーケティングリサーチ成功の7つのステップ
マーケティングリサーチをするには、どのような手順で行うか決めておくと良いです。ここでは『マーケティングリサーチとデータ分析の基本』にある7つのステップを用います。
STEP1 順番の決定
STEP2 目的の設定
STEP3 調査企画の設計
STEP4 データ収集
STEP5 分析・解釈
STEP6 アウトプット作成
STEP7 アクション
手順は分析する対象の優先順位を決めることです。
影響が大きいものから先に分析するというシンプルなものです。
目的の設定には、その分析をすることで売上を上げたいとか、コストを下げたいといったものを設定します。
こうすることでアクションを見据えた分析が可能になります。
分析が目的にならないようにしましょう。
この中で特に注意すべきは
- 調査企画の設計
- リサーチ方法を決める
- 集めてきたデータの分析方法
です。
以下では1つずつ解説していきます。
調査企画の設計
目的を達成するために何をリサーチして、何をリサーチしないのかという範囲を設定するには3C、SWOT分析、STP分析、4C・4P分析を順に使っていきます。
3C分析の使い方
まず、3C分析では事業環境分析を自社、市場、競合の3つの視点から行います。
具体的にどう使うというと自社→市場・顧客→競合の順で分析していきます。
- 自社の持つ経営資源を確認して強み弱み(SWOT分析)を分析
- 自社の力が分かったところで、その強みを活かして戦える市場を決定
- さらに、その市場での競合をSWOT分析も用いて自社と比較
- そうして、本当に競合とその市場で戦えるか考える
このように自社の分析をするときに合わせてSWOT分析を使うことで、それぞれの強み弱みを比較するとことができ強力です。
戦う場所を決める
次にSTP分析をします。
STP分析では
- 市場を細分化して
- ターゲットを抽出し(想定顧客を決定)
- 競合との差別化
することを考えます。
ライバルが少ない場所を探してそこで戦うようにします。
この分析の目的は、対象を絞って勝率を高めることです。
現在の多様化した価値観では広い範囲を対象としてもマーケティングの効果が出にくいため想定顧客を絞る必要があります。
つまり、マスマーケティングではなく、スモールマスマーケティングを意識することになります。
という本に事例などが詳しく書かれているので、これからの市場がどうなっていくのか気になる方は読んでみてください。
最後に4C・4Pを用います。
これはそれぞれ、顧客と企業の視点から見たマーケティングの構成要素を考えるフレームワークです。
- 顧客にとっての価値=製品
- 顧客にとってのコスト=価格
- 顧客の関わり=プロモーション
- 利便性=流通
この4つの観点から有利に戦える場所を探すことが目的です。
ここまで分析すると競合と戦う場所、戦っている場所がはっきりするので、リサーチする範囲も自然と絞られます。
インサイトという潜在的な顧客のニーズを探すことで課題を発見することもできます。
リサーチ方法を決める
リサーチ範囲が決まったら、次にどうやって情報を得るのか考えていきます。
リサーチ方法で特に役立つものはデスクリサーチとインターネットリサーチ、インタビューの3つです。
まずデスクリサーチを行った上でより深く情報が必要な場合、インターネットリサーチやインタビューを行います。
インターネットリサーチは数値などの定量データを集めるために使い、インタビューはアイデアや考えなどの定性データを集めるために使います。
デスクリサーチ
デスクリサーチとはネット、新聞などを活用してデータを集める方法です。
最もシンプルで手軽にできますが、情報の信頼度に注意を払い用いる必要があります。
5W1Hを用いることで、その情報が信頼できるのか確かめることができます。
- What→知りたい情報はなにか?
- Whom→誰が対象となった情報か?
- Why→なぜその情報がそのサイトに書かれているか
- where→どこの情報か?
- When→いつの情報か?
- How→どのように集められた情報か?
極端な例をいうと、統計情報が載っているサイトを見ていて、転職した人の平均収入をしりたいとします。
この場合、平均収入の元となっているデータがアメリカ人のものであったり、1950年代のものでは不適切です。
そのため、5W1Hを用いて自分が求めている情報か確認してください。
他にも口コミは利用者の心の動きを確認するのに役立ちます。
しかし、口コミは極端な評価も多いので平均評価ではなく書かれている内容を確認してください。
また、2,3件の口コミではなく30件ぐらいの口コミを確認することで、特定の意見が全体の意見であると錯覚しないで済むようになります。
インターネットリサーチ
インターネットリサーチは予め回答者数と質問の内容を考えて行います。そのため、アクションに繋がる質問をもれなく作る必要があります。
ただし、回答者に誤解を生まないように注釈などを書きすぎると脱落率が上がってしまい、忍耐強い人だけが回答するというバイアスが発生してしまいます。
そのため、質問はシンプルにする必要があります。
無料のインターネットリサーチサービスがあるので、ここで試して練習してみるのも良いかもしれません。
Questant
ミルトーク
インタビュー
インタビュー調査は定性調査であり、数値データではなくアイデアや仮説の発見をしたいときに用います。
インタビューにおいて重要なのは、簡単な質問から複雑な質問にするなど、相手が答えやすいように順番を決めておくことです。
一貫性の法則を利用します。
はじめに簡単な質問に答えてもらって、相手に質問に答えるという一貫性をもってもらいます。そうすると、その後の複雑な質問などに答えてもらいやすくなります。
また、インタビューを行う段階では、インタビューする対象者や製品・商品などの知識や、相手に気持ちよく話してもらうためのコミュニケーション能力が必要です。
インタビューを行う最中に、必要な情報を得るための適切な質問をするには、製品・商品に対する知識、何を知れば行動に繋げられるのかといった知識が必要です。
また、インタビューは人との対話なので相手が話したくなるようなコミュニケーション能力が必要です。
コミュ障でも5分で増やせる超人脈術などを参考にしてください。
このようにしてデータを集めたら次は分析してアクションにできるようにします。
集めたデータを分析する
まず、分析することで何をしたいのかという目的を設定します。
目的がないと分析すること自体が目的化して意味のある分析ができないためです。
比較する
分析において最も重要なことは比較することです。
例えばテレビを買いたいときに1つのテレビだけを詳しく調べてもその商品が良いものかどうかわかりません。
マーケティングにおいても比較対象を設定して集めてきたデータを元に最も目的に合っている選択肢を選びます。
比較対象となるのは競合会社やその製品などの市場におけるライバルとなるものや各種指標、同じ製品の去年のデータなどの時系列データ、シェアなどです。
何と何を比較するか決めるとシンプルに分析することができます。
比較対象を決めたらそれを棒グラフ、折れ線グラフ、クロス集計表などにまとめて事実を確認しやすくします。
棒グラフは売上などの量を比較したいとき、折れ線グラフは時系列で比較したいとき、クロス集計表は会社別、年代別などの項目間の比較をしたいときに使います。
すばる舎(2018/4/8) マーケティングリサーチとデータ分析の基本 中野 崇より引用
得たグラフを見て、まずは事実を確認します。20代はインターネットで情報収集することが最も多いというのが事実です。
さらに、この事実を解釈して気づきを得て、目的に合う行動を考えていきます。
例えば、20代向けの製品の売上を伸ばすにはインターネット広告を使うのが効果が高いのではないか、などです。
このようにグラフにまとめて、比較を意識することで、シンプルに分析をすることができます。
まとめ
リサーチするべき範囲を定めるために、フレームワークを使い、求める情報に応じてリサーチ手法を使い分け、最後に比較を用いてデータを分析します。
このようなシンプルな手段を使うことで、多くの情報に流されることなく必要なアクションを取ることが出来るようになります。